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ハンガリーの北東部に位置するサボルチ・サトマール・ベレグ県(Szabolcs-Szatmár-Bereg megye)。地図に目を向ければ、北にウクライナ、東にルーマニア、北西にわずかに接するスロバキアが。
この地域でよく使われる技法はクロスステッチ。端飾りにドロンワークを施すと趣向を凝らしたものになります。伝統的な色使いは赤と黒、青と黒といった2色が多く、時代が新しくなるにつれ青系の濃淡、更にカラフルなものもみられます。
べレグの刺繍を知るには小さな村Tákos(ターコシュ)の教会にヒントがあるようです。
http://www.takos.hu/index.php/tourizmus/a-mezitlabas-notre-dame
ハプスブルク家出身の女帝マリア・テレジアによる宗教改革では、教会を建築する際に石やレンガの使用を禁じました。代わりに木材と編んだ木組みに泥を塗りつける土壁の工法 Patics (パテチャ)が用いられ、人々は泥を作るため裸足(mezítláb)で作業に従事しました。完成した教会は、板を重ねた屋根を持ち、手を伸ばすと届くような低い天井でした。村に現存する教会の名は”mezítlábas Notre Dame”(裸足のノートルダム)。ノートルダムという言葉、フランスにあるノートルダム聖堂がよく知られていますね。フランス語では「われらの貴婦人」という意味で、聖母マリアを示す言葉なのだそう。カトリックの聖堂や学校名によく使われます。
教会内部の装飾には※トランシルヴァニアの職人たちが起用されました。その中でも卓越した技術を持っていたのはLándor Ferenc。
彼は教会内の椅子や説教台を作り、天井にはめ込んだ木枠の中に聖書に基づくシンボルを描きました。
花、鳥、果物などの天井画はやがて刺繍のモチーフに。
教会を飾るザクロの連続模様。
種をたくさん持つ様から、豊饒や子供が授かるよう祈る女性たちの願いが込められています。
べレグの刺繍の”故郷‟は”トランシルヴァニア”に…。
刺繍を知る旅は新しい発見に溢れています。
※…(現在はルーマニア。かつてはハンガリー領の時代がありました。)
参考
- トランシルヴァニアの教会についてはルーマニアに住む谷崎聖子さんのブログ「トランシルヴァニアへの扉」をご覧ください。ターコシュに残るカルヴァン派教会の天井画のルーツがわかります。
- 観光案内ブログ【Turista-Szalámi】
- 旅行ブログ【撮り旅・ヨーロッパ】


